称呼の付け方
『平仮名・カタカナ・漢字の場合』
商標というのは出願後、審査を経て審査に問題がなければ登録されます。
この審査では出願された商標が『登録の要件を満たしているか』を見られるわけですが、その要件のひとつに「他の商標と似ていないか」という項目があります。この「他の商標と似ていないか」というのは、商標の見た目・称呼・そこから看守できる意味合いの3項目を総合的に審査します。
今回はこの類非判断のうち「称呼」を判断する時に、特許庁がどのような商標に称呼をつけていくのかを商標審査基準と登録情報等を参考にみていきます。なお「称呼(しょうこ)」というのは文字を音で表したもので、要は商標の「読み方」を意味します。今回は日本語で書かれた商標の場合についてみてみましょう。
平仮名とカタカナで書かれた商標の場合
最初に平仮名とカタカナの商標の称呼についてみます。これは平仮名・カタカナから発せられる読みがそのまま称呼として採用されます。例えば商標が「りんご」や「リンゴ」の場合、その称呼には「リンゴ」が付されます。
また商標が「すたあくん」や「いいな」のように「母音がaの音に『あ』が付いたもの」や「母音がiのものに『い』が付いたもの」が含まれている場合、その称呼は「スタアクン」の他に「スタークン」、「イイナ」の他に「イーナ」等、長音を含む表記になることもあります。
漢字で書かれた商標の場合
次に商標が漢字で書かれたものの場合を見ていきます。
まず商標が一般的な単語である場合、その単語の自然な読みがそのまま称呼とされます。例えば商標が「太陽」の場合その称呼には「タイヨウ」が、商標が「海峡」の場合その称呼には「カイキョウ」が付されます。なお自然に発生する称呼が複数ある場合には複数の称呼が付されます。例えば商標が「富士山」の場合、その称呼には「フジサン」または「フジヤマ」が付されます。
漢字で書かれた商標で音読みでも訓読みでも自然に読める語句の場合には、仮に振り仮名があっても音・訓二つの称呼が付される場合があります。例えば、「典」の文字に「テン」を振り仮名として記載している商標の場合、その称呼には「テン」の他に「ノリ」というものも付されます。また「紅梅」の文字に「コーバイ」を振り仮名として記載している商標の場合、その称呼には「コーバイ」の他に「ベニウメ」というものも付されます。
振られている仮名が自然な仮名で、それ以外の読みは不自然な場合には振られている自然な仮名が称呼とされます。例えば「竜田川」の文字に「タツタガワ」と振り仮名をして記載している商標の場合、その称呼は「タツタガワ」と付されます。ただ竜田川の文字は無理やり読めば「リュウゼンデン」とも読めますが、このような不自然な読みは称呼としては採用されません。また逆に振られている仮名が不自然な場合は、その振り仮名の他に漢字の自然な読みも称呼として付されています。
例えば「薔薇」に「しょうび」と仮名を振った場合、その称呼は「ショウビ」「ショービ」の他に「バラ」も付されています。