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オムロンとタニタの体脂肪計「DualScan」商標の行方

オムロンヘルスケアがタニタの「デュアルスキャン(DualScan)」の商標無効を求めた訴訟について、知的財産高等裁判所は2月17日にタニタの商標登録を無効とする判決を下しました。特許庁の審決を覆すものであり、オムロンヘルスケアにとっては逆転勝訴という形で終わりました。

 

そもそも「デュアルスキャン」は、オムロンヘルスケアが2008年8月に「体脂肪測定器、体組成計」の商標として登録していたものでした。これをタニタでは、2013年4月に「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」の商標として同じ名称を登録したことが訴訟の始まりでした。

 

商標の登録範囲は限られている

なぜ、オムロンヘルスケアとタニタの両社で同名の商標が認められたかというと、指定商品の違いがあったためです。登録商標は無制限に全ての商品で権利が認められるわけではなく、どのような商品・役務に用いる商標なのかを出願段階で具体的に指定しておく必要があるのです。

 

例えば、スリーダイヤのマークは、三菱財閥の流れを汲む三菱グループ、独立企業である三菱鉛筆の両社で使われています。歴史的には、三菱鉛筆側の商標登録の方が先ですが、なぜ両社で同じ商標の使用が許されているかと言うと、指定商品が違うためです。逆に言えば、仮に三菱グループで新たに文具メーカーを設立したとしても、三菱鉛筆側で指定している文具類にはスリーダイヤマークを付けるのは難しいのです。

 

今回のケースでも、オムロンヘルスケアは医療機器としての「体脂肪測定器、体組成計」を指定商品としていたのですが、タニタでは、家庭用機器としての「脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計」を指定商品として出願したために、特許庁は異なる指定商品の商標として両社の商標が併存することを認めたのです。

 

医療用の体脂肪測定器と家庭用の体重計に違いはあるのか?

この特許庁の判断に異を唱えたのがオムロンヘルスケアです。医療用、家庭用とメインターゲットとしている市場は違うものの、体脂肪を測定するという商品の基本機能は変わらないものに同一の商標が使われることになりますので、ユーザー側で誤認・混同の恐があるとして、特許庁に対してタニタの商標は無効であると請求したのです。

 

特許庁はこれを認めず、請求を退ける審決を下しましたが、オムロンヘルスケアでは知的財産高等裁判所に審決取消し訴訟を提起し、今回の逆転勝訴につながったのです。勝訴に至ったポイントとして、医療用機器と家庭用機器の境目が曖昧になっていることがあげられています。

 

昨今、健康意識の高まり、ヘルスケア産業の発展もあり、医療用機器としての体脂肪計であっても、スポーツ施設などに設置されることによって一般消費者の目に触れることが多くなってきています。このため、オムロンヘルスケアとタニタの商品が競合するのはもちろんのこと、互いの商品が混同されるおそれも生じてきています。知的財産高等裁判所もこのような点を考慮し、今回の判決に至ったようです。

 

将来市場も意識して商標出願すべき

今回のオムロンヘルスケア、タニタの訴訟について、特殊ケースと考えずに、今後の商標出願の参考にしていくべきでしょう。商標出願を検討する際には、現段階で想定している商品・サービス・市場だけではなく、市場や消費者の動向がどのように変化していくか、自社として参入を検討している市場のことなども考えた上で、指定商品・役務の設定を考えた方が良さそうです。

 

特に、インターネット通販が普及したこともあり、これまでは事業者しか購入しなかったような産業用機器も一般消費者が気軽に購入できるようになってきています。商品分類の境目がどんどんと曖昧になっていく中で、今後も同様の訴訟事案が現れてくるのではないかと予想されます。今一度、自社が持つ商標の有効範囲を確認・再検討することをおすすめします。

 

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