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同じ標章は登録できるか

商標登録に関して、よくある問い合わせの中に「ABCという文字で商標登録をしたのに、街中でABCと書かれた商品が売られていた。これは私の商標権を侵害するものですよね」という趣旨のものがあります。

商標というのは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合である「標章」が、商品または役務を表示するものとして使用する目的で特許庁に登録されて始めて商標(登録商標)となります。

ですから、冒頭の問い合わせの回答は、
「もしその商品が、あなたが登録した商標ABCが指定する商品と同じ商品について使用しているものなら、侵害している事になりますが、指定商品以外の商品に使用していた場合は侵害ではありません。」というものになります。


ここで一点確認しますと、商標登録というのは登録した「標章」が同じでも、指定する商品・サービスが違えば登録できます。これは、指定する商品・サービスが違えば、取引上、出所の混合を起させることがないからです。

例えば、「富士山」という文字の標章は、白根沢合資会社が「繊維や布地」の分野で、大山豆腐株式会社が「食品」の分野で、株式会社ワイエムジーソフトが「コンピュータープログラム」の分野で、それぞれ登録しています。
これらが並存して登録されているは、「繊維や布地」「食品」「コンピュータープログラム」はそれぞれ全く別物であるからです。食品に「富士山」の商標が付いているからといって、これを「コンピュータープログラムを作っている株式会社ワイエムジーソフトが関係している商品なのね」と混同する人はいないでしょう、ということです。


なお、せっかく商標登録するなら「特定の標章に関する権利を完全に我が物にしたい」と考える人のためにいいますと、その希望は、全ての商品・全てのサービスを指定(全類指定)して登録する事で達成できます。ただし、全類指定するためには、出願料だけで、約40万円かかり、仮に審査をストレートで通過し、登録となった場合の登録料は5年分で約100万円、10年の場合は約170万円になります。

また、全類指定で登録したとしても、実際に使用する分野が限られている場合、使用していない分野に関しては「不使用取り消し審判」という制度により取り消される恐れもあります。 ですから、商品・サービスの全ての分野で使用する予定がないのであれば、全類指定はお勧めできません。

 

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