Rマーク(®)の意味と効果
企業のロゴやブランドの新しいマークを考案しようというときに、類似したものがないか、あらかじめ業界他社のウェブページやパンフレットを確認されているものと思います。その際、よくロゴやマークの隅にアルファベットのRを丸で囲んだマークを目にしたことはないでしょうか。
Rマークとは
このマークはregistered trademarkの頭文字のRを図象化したものであり、一般的にRマークと言われています。このマークを付けることによって、これは登録済の商標という意味を持たせることができます。 日本の商標法上では、Rマークに関する規定はありませんが、登録されていない商標にもかかわらずRマークを付けた場合は、虚偽表示として刑事罰を科せられることもあります。
正確には、日本の商標法上は、第73条に登録商標である旨を表示するようにという努力義務規定があり、この具体的な方法として施行規則で登録商標の文字及びその登録番号を表示と定められているのですが、実務、そしてデザイン上の問題から登録番号を併記していくのは難しい面があります。このため、必要な面積が少なく、簡単に付けられるRマークで代替しているというのが実情です。 すなわちRマークは法令上の規定はないものの、慣習的に商標登録済の意思表示をするマークであることが認められているということです。
Rマークの『3つの効果』
Rマークには3つの効果があると言われています。 まず、Rマークはその存在意義にもあるとおり、このマークを付した商標は登録済であることをアピールするものです。つまり、そのロゴやマークを目にするであろう者すべてに登録商標であることを主張する効果があるのです。 商標自体は登録することによって商標掲載公報、特許庁データベースに掲載されて一般公開されます。
一方で、知的財産関連の事務を行う方ならともかく一般消費者が商標掲載公報を閲覧することは少ないものと思われます。このため、何の措置をとることもなく商品パッケージやホームページ上に商標を用いると、知的財産に関する知識が乏しい者(あるいは知識が乏しいと偽る者)にコピーされてしまうおそれもあります。このような事態を避けるために、Rマークを付けて、この商標は登録済であり自社が権利を保有していることを宣言しているという一面があります。
次に、悪意ある者への牽制効果があります。Rマークを付けるということは、商標に対する権利意識が強い企業であることの表明にもなりますので、悪意ある者が商標をコピーしようとした時に訴訟リスクなどを意識させることにもつながります。また、商標権の存続期間は10年間となっているため、更新が近い商標にもRマークを付けることによって、企業として引き続き権利を主張していく意思があるということを明確にすることができます。
そして、これは他者ではなく自社に対する効果とも言えますが、Rマークを付けることによってブランド意識が強くなるという一面があります。ブランドイメージを確立していくためには、商品やサービスの品質維持だけではなく、それを取り扱う従業員のひとりひとりがブランドを作り上げていく一員だという意識を持つことが重要です。Rマークを付けることによって、自身が取り扱っているロゴが会社にとって守るべき対象であり、ブランドイメージを形成しているものなのだという意識が芽生えるという側面があります。
商標の管理というと出願して登録さえすれば終わりというイメージもありますが、競合他社、悪意ある者からのコピーを防ぐためには、どのようにして日頃から商標として権利を主張しておくかが重要となります。登録商標を保護し、自社のブランドイメージを守るためにも、登録商標であることをアピールしていくことが大事なのです。
商標登録する前に意思表示する場合にはTMマークを
このように商標の保護、ブランドイメージの強化に一役買っているRマークですが、これを使用できるようになるのはあくまで商標として登録した後のことです。商標出願した段階でつけるのは、出願却下されたときのリスクが大きいので避けましょう。 一方、商品やサービスを既に展開中の場合、商標出願中であったとしても、何らかの保護をかけたいと思うときもあるでしょう。そのようなときには、TMマークを付けることをおすすめします。
TMマークとは、trademarkの略称であり、単に「商標」という意味を持ちます。法的な拘束力はありませんが、このロゴは自社の商標として考えているいう意思を対外的に示す効果があります。