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称呼同一で非類似とされた商標「環」と「玉樹/たまき」

前回、商標の要部の称呼が同一であるにも関わらず比較する商標が類似しないと判断されたケースとして「ホウオウ事件」を紹介しました。「ホウオウ事件」は特許庁が原則とおり「称呼が同一なら商標は類似」という原則を貫いたのに対し、裁判所が特許庁の原則通りの判断を翻すという形で商標の非類似が認められました。

 

ただ最近の特許庁の判断をみていると、称呼が共通していても外観と観念の違いを踏まえ、総合的に判断した結果、両者を非類似の商標と判断する例が以外と増えています。

 

特許庁が判断した「外観」と「観念」

例えば特許庁が判断したもので「タマキ」の称呼が共通する「環」と「玉樹/たまき」の商標が類似しないとされた例があります。
特許庁が両者を類似しないと判断したのは以下の理由によります。

 

まず外観が違うという理由です。

 

この2つの商標は一方が漢字1文字を標準文字で書いているのに対し、もう一方は漢字2字でなりその2文字も装飾された字体で描かれ

ているものですので、両者の見た目は全く違うことがわかります。

 

次に観念が明確に違うという理由が挙がっています。

これは「環」からは「玉の輪。たまき。輪の形をなすもの」等の意味合いを想起させるのに対し、「玉樹」からはその構成する文字から「木本の植物」等の意味が想起され、両者から得られる観念は違うものであるという事です。

これらの理由により、特許庁は例え共通する称呼が認められるものであっても両者は混同を生じさせるおそれのない非類似の商標であると判断しました。

 

なおこの判断の詳しい内容を見たいという人は、特許庁ホームページの電子図書館「審決広報DB」にいき「2003-11710」の審決を参照して下さい。

 

なお同様の判断は、「リンクス」の称呼を共通とする「LINKS」と「リンクス」の例(2006-22218)、「ツキヤ」の称呼を共通とする「津気屋」と「TSUKIYA/月や」の例(2008-23733)、「トラブル」の称呼を共通とする「TO LOVEる/とらぶる」と「Trouble」の例(2008-11916)、「タイム」の称呼を共通とする「たい夢」と「タイム/TIME」の例(2009-8072)などたくさんあります。

 

これらの事件も特許庁のホームページで詳細を見る事ができますので、興味のある方は是非ご覧になるといいかと思います。

 


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