称呼類似の判断に便利な「TN法」ツール
以前、称呼の類似・非類似の判断には結局のところ最後は個人の主観的な感覚に頼らざる得ない部分がある、というお話をしました。しかし、この主観に頼らざる得ない称呼の類非を、数値化し判断しようとしたものがあります。それが「TN法」です。今回はこのTN法についてお話しします。
TN法と、商標類似・非類似判断ソフトの使用方法について
先にも説明した様に「TN法」というのは、商標の称呼の類似・非類似を数値化し判断しようとする方法です。このTN法は、インターネット上にソフトウェアがありますので、それをダウンロードする事で試すことができます。
手順としては検索エンジンで「TN法 商標」等のキーワードを検索、「TN Judgment for Windows95」というソフトを探しダウンロードする。ダウンロードしたソフトを開き、比較したい商標の称呼を入力し「判断する」のボタンを押す。これだけです。
なおこのソフトの称呼の入力には、いくつかルールがありますので紹介しておきます。
まず入力する文字は半角のカタカナで入力します。平仮名やカタカナの全角で入力しても、このソフトは判断してくれません。
次に入力できる称呼は、商標をあわせ10音までです。
例えば「サンダーバード」と「サンドーバード」を比較したい様な場合、このままでは字数制限で判断ができませんので「サンダーバ」と「サンドーバ」や「サンダー」と「サンドー」等と称呼を短くして入力するなどの工夫が必要です。
最後に比較したい商標の文字数が違う場合、「0(数字のゼロ)」を入れて調整する必要があります。例えば「モルモット」と「モルット」を比較したい場合、「モルット」の後に「0」をいれ「モルット0」と入力してから「判断する」のボタンを押します。以上のルールに則り、商標を入力する事でTN法による称呼の類似・非類似の判断をする事ができます。
使用する際の注意点
注意して欲しいのはTN法によって非類似とされたからと言って、特許庁がそれを非類似と判断するとは限りません。
例えば、「ミギオン」という称呼と「ミチオン」という称呼の商標は、特許庁が発表している商標審査基準で類似する商標の例として挙げられていますが、これをTN法で判断すると「非類似」という結果になります。
この「ミギオン」「ミチオン」の商標に限らず、特許庁が称呼類似として挙げているものの中でもTN方では非類似と判断される例は幾つか確認できます。ですからTN法も絶対的な指標として扱うのではなく、あくまで称呼の類似・非類似を判断する上の判断材料のひとつとして捉える事が賢明でしょう。
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