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「フランク三浦」から考えるパロディ商品の商標

先日、高級腕時計ブランドの「フランクミューラー」とそのパロディー商品である「フランク三浦」の間で商標権に関する訴訟が行われ、フランク三浦側の主張が認められるという結果に終わりました。

 

価格帯の相違も判断材料になった

今回の問題は、大阪市で時計類を製造販売する株式会社ディンクスが「フランク三浦」の商標を出願、登録にまで至ったことから始まります。フランク三浦は、謎の天才時計師であるフランク三浦が製作した腕時計という設定であり、スイスの時計師であるフランク・ミュラーが立ち上げた腕時計ブランドのパロディ商品であることは明らかです。

 

このようなパロディ商品の商標登録が認められることは珍しいのですが、株式会社ディンクスが商標出願した2012年当時の特許庁がこれを拒絶せずに受け入れたことから、今回の訴訟が始まりました。フランクミュラー側は、フランク三浦の商標登録は無効であることを特許庁に求め、一時は、フランクミュラーの主張が受け入れられました。

しかし、この無効審決について株式会社ディンクス側も対抗して知的財産高等裁判所に審決取消訴訟を提起し、今回の大逆転劇につながりました。 

 

知的財産高等裁判所では、「フランク三浦(フランクミウラ)」と「フランクミュラー」の称呼に類似性があることを認めつつも、それぞれの商品の外観から容易に区別ができることに加え、フランクミュラーが100万円を超える高級腕時計なのに対して、フランク三浦は4000円から6000円程度の低価格であることから、消費者が両社の商品を混同することは考えにくいとの判断を示しました。

 

今回の知的財産高等裁判所の判断で特徴的なのは、オリジナリティだけではなく価格帯の相違にも言及したことです。フランクミュラーは高級腕時計とのブランドイメージが確立していることを前提にして、1万円でお釣りがくるようなフランク三浦を本家本元のフランクミュラーと誤解するはずはないと、ある意味で消費者の常識を信じるようなものになっています。もし、フランクミュラーが中価格帯の腕時計ブランドだった場合、どのような判断が下されたのでしょうか。

 

パロディ商品の商標はグレーゾーン

今回はフランク三浦側の勝訴という結果に終わりましたが、パロディ商品全体を見渡すと、商標登録は厳しい状況にあります。例えば、北海道の石屋製菓が製造販売する「白い恋人」のパロディ商品として展開された「面白い恋人」は、特許庁に商標出願して認められなかったばかりか、石屋製菓側から商標権侵害として訴訟を起こされる事態にまで発展しました。

 

また、サントリーの缶コーヒーブランドのBOSSを模したBOZUというパロディ商品がありましたが、こちらは商標登録はされたものの、サントリー側の訴えによって無効とされています。 一方で、スポーツアパレルブランドの「PUMA」のパロディ商品である「SHI-SA」については、称呼・観念が相違する上、外観が必ずしも類似するものとは言えないとして、PUMA側の訴えが退けられています。

 

パロディ商品であることが明らかなものでも、オリジナリティの有無、誤認のおそれの有無で判断が分かれているといったところです。そもそも商標法上にはパロディ商品という概念がないため、明確なセーフラインがないのです。

 

不正競争防止法上のリスクは残る

今回の知的財産高等裁判所の判決はフランク三浦の商標の正当性を担保するものになりましたが、まだ火種は残っています。パロディ商品には、ロゴやマークといった商標のほかにも、不正競争防止法上のリスクもあるところです。

 

商標権が認められたことと、他社の著名ブランドを模した商品の販売可否は別次元の話であり、仮に、フランクミュラー側が不正競争防止法上の不正競争としてフランク三浦の販売差し止め請求を起こした場合は、今回と違った結果が待っているかもしれません。

 

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