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ホンダ「スーパーカブ」の立体商標をめぐる話題

業界の要望と外圧による法改正

以前は平面上のものしか認められていなかった商標は、広告表現の多様化に伴い産業界からの要請とすでにヨーロッパ諸国では導入されていたこともあって、立体物も商標として認めるべきとの国際的流れにより、商標法が改正され1997年4月から「立体商標」が出願可能となりました。

 

一説によれば、ヨーロッパ諸国で認可された立体商標が日本で認められなければ「工業所有権の保護に関するパリ条約」違反となるとのいわゆる「外圧」があったともいわれています。

 

いずれにせよ、二次元に限定されていた商標に三次元の表現物が加わるということは、長い商標法の歴史においても画期的な出来事であり、21世紀に入ってさらに改正され新たに加わることとなる「色彩」や「音」などの商標化現象の先駆的改正となりました。

また、立体商標を登録することによって得られる企業のメリットについては、改正当時は未知数であったため、立体商標の登場が産業界に与える影響がどの程度のものになるのかも大きな話題となりました。

 

立体広告物を登録商標に

立体商標が認められる以前は、立体的広告物などをめぐる係争がたびたび起きており、特に有名なのが大阪のかに料理店「かに道楽」の「動くかに看板」における裁判です。店の軒先に掲げられた機械仕掛けで足が動く大きなかにの立体看板は、くいだおれ大阪の名物として抜群の知名度があり、これを真似た他店のかに看板が不当表示であると「かに道楽」が訴えた裁判です。

この時かに道楽が提訴の根拠とした法律は「不正競争防止法」であり、結果的にはこれが認められ、真似をした店のかに看板は使用を禁止された上に損害倍賞を命ぜられました。

 

ただし不正競争防止法では、訴えた側が法律違反であることを立証せねばならず、これが裁判所に認められないと時間の浪費だけでなく大きな金銭的損失となりかねません。しかし、立体商標を登録しておけばそのような手間がかからないという大きなメリットがあるのです。

 

立体商標の法制化によって登録となった立体商標で有名のものに「ケンタッキー・フライド・チキンのサンダース人形」や「不二家のペコちゃん人形」などがあります。どちらも長年多くのフランチャイズチェーン・ショップの店頭に設置され顧客に親しまれてきた立体広告物であり、同時にこれらの人形自体がャラクターグッズとして商品化されていることが特徴的です。

 

画期的な立体商標「スーパーカブ」

近年、日本の立体商標で世間をにぎわしたのが「ホンダのスーパーカブ」です。店頭の人形とは異なり、本田技研工業が同社の商品であるオートバイそのものの形状を立体商標として出願したことに対し、これが果たして登録となるか否かに世間の注目が集まりました。そしてスーパーカブは一旦拒絶査定を受けたものの、ホンダ側の申し出による不服審判を経て、晴れて立体商標として登録が認められています。

 

通常、バイクのような商品識別性の希薄な商品に対して立体商標が認められるのは大変珍しいのですが、スーパーカブに関しては半世紀以上にわたり一貫して製造が継続されている実勢が認知された結果ともいえるでしょう。

ホンダのスーパーカブは特にアジア諸国において、その性能と耐久性は高く評価されているだけに、粗悪な模造品も多く出回っていることから、ホンダとしてはスーパーカブという商品を丸ごと立体商標とすることで、各国での海賊行為を駆逐したいという目論見があったと思われます。

 

ホンダのスーパーカブが立体商標として登録されたことは、商品の形状に特性を有する他の分野の商品にもこの結果が波及し、今後も商品自体の立体商標出願が増加するものと思われます。そして、それぞれの商品において、特許庁がどのような判断を下すのかに注目していきたいところです。

 

 

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