標準文字の「あずきバー」が商標登録できた理由
「あずきバー」事件は審決取り消しの例として上げられる事件の一つとして知られています。「あずきバー」は、標準文字でありながら商標登録が認められた例として上げることができます。「あずきバー」は商標登録を得るために、指定商品第30類「あずきを加味してなる菓子」として特許庁に申請されていましたが、特許庁はこの申請に対して商標法第3条第1項第3号の規定に該当するものとして識別力がないと判断し、拒絶査定しています。
不服裁判における争点と出願時の指定商品
不服審判請求においては、特許庁が成り立たないとしてきたことから、原告はこの審決の取り消しを求めていたのです。拒絶の理由については、「あずきバー」のバーは棒のことであることから、業界ではスティック状のあずき菓子や氷菓のことを想起させるものとしていました。また、申請した「あずきバー」は指定商品の品質や原材料、形状を表したにすぎないものとして「あずきバー」が標準文字でしかないとして拒絶したのです。
しかし、「あずきバー」の出願においては、指定商品を「あずきを加味してなる菓子」としていましたが、実はこのあずき菓子が菓子の全般に対しての識別性として捉えられるようになったことから、「あずきバー」が商標として登録されました。本来、使用実績があるところを示さなくてはならないのですが、この商標が標準文字による商標として登録されたことによって注目されたのです。
標準文字である「あずきバー」が商標登録を出来た理由
この判決では、「あずきバー」について「本願商標は、本件商品の販売開始時以来本件審決の時点に至るまで、原告の製造・販売に係る本件商品を意味するものとして取引者、需要者の間で用いられる取引書類等で全国的に使用されてきたものと認められる。」としていることから、使用商標として標準商標が認められることになったということでした。
このように、この事件は「普通名称+バー」という組み合わせとして登録された例としての特徴をもっています。
なお、「あずきバー」のほかにも指定商品第30類「バターを加えた菓子」とした「バターバー」が商標登録された例があるため、このような使用が証明できるのであるのであるなら、商標登録できるという可能性をもつことを示すものとなっているのです。