ヤクルト容器立体商標とアンケート調査による識別力
ヤクルトの容器は立体商標として、第29類「乳酸菌飲料」を指定商品に申請されました。しかし立体商標として拒絶されたことから不服審判請求を行なったのですが、特許庁は請求を不成立の審決としたので、審決の取り消しを求めたのです。
ヤクルト容器の立体商標登録と識別力の関係について
ヤクルト立体商標事件は、立体商標制度がはじまったときに出願されたものであったことから当時は注目された事件でした。特許庁は、ヤクルトの容器が収納容器でしかないとして、この形状だけではヤクルトの商品であるという識別ができないという判断を下しています。
つまり、ヤクルトの容器の形状だけではヤクルトであるのかどうかということはわからないので、商標として認めることができないとしていたのです。そして、この容器に「ヤクルト」や「Yakult」の文字を入れていても立体的な容器が他との識別を持つものでないとしていました。
また、このヤクルト容器立体商標事件では、2次事件があったことを特徴としています。ヤクルトの容器については収納容器であることから、商標登録を認めないものとしていました。しかし、2次事件では、1次事件で認められなかった商標法第3条第2項に上げている「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」を活用することによって、アンケート調査を行ないました。
アンケート調査による識別力の証明
これによりヤクルト容器が乳酸菌飲料の容器として多くの商品で利用されていながらも、大多数の人がこの容器を見て「Yakult」であるということを示していることから、商標法第3条第2項に定めた規定をクリアすることになり、商標登録を認めることができるようになったのです。
ヤクルトの容器については、当初立体商標登録において拒絶されていましたが、この商標事件においては使用者によるアンケート調査を行われたことにより、ヤクルト容器として識別することを可能することができたのです。この事件では、ヤクルトとして識別に足りる証拠を集めることに成功しています。また、これが高い割合で識別力を証明することができた例として上げられるものとなっていることを特徴としていたのです。