類似群コードの調査方法と外国との比較
出願前に審査と同様のシミュレーションを
商標出願の際には、出願する商標を取り扱う業種を、特許庁が規定する「区分」(全45類)から該当する業種を選択して出願書類に記載する必要があります。そしてさらに、大分類である各「区分」の中でさらに細分化され「類似群コード」を付与されている商品・役務群について出願者がそれらを調査しコード番号を付けて出願する必要があります。
「区分」については大分類なので分かりやすいのですが、問題は「類似群コード」です。特に初めて商標を出願する際の「類似群コード」に調査方法について、以下に記述してみましょう。
特許庁の審査官は、出願様式が妥当か否かの事務手続のあと、実体審査に入るとまずこの「類似群コード」を精査しますので、出願者も事前に「特許情報プラットフォーム」の呼称検索と類似群コードを活用し、審査官と同じ手順を踏んで出願後のシミュレーションをしておけば、無駄な出願を回避することができるわけです。
「特許情報プラットフォーム」の活用
「特許情報プラットフォーム」は「独立行政法人・工業所有権情報・研修館」が運営する特許・商標関連のインターネット検索システムで、商品・役務の呼称を入力すれば過去情報を簡単にリサーチすることできます。
そして検索結果の一覧表示をクリックすると「類似群コード」を参照できます。たとえば、第30類に区分されている「パン」の類似群コードは「30A01」となっており、この中で同一または類似する商標が過去に登録されていれば拒絶査定となる可能性が高いということになるわけです。
つまり「類似群コード」が異なれば互いの商品・役務も異なるということになるのですが、「類似群コード」が異なっていても、例外的に類似と判断されて拒絶査定となる場合もあり、これを「備考類似」と呼ばれています。
出願時に、それが「備考類似」に相当するのか否か、その判断は難しく、この場合は特許事務所の弁理士などに相談する必要があるでしょう。
中国への商標出願には要注意
なお、これら商標区分や類似群コードは1957年の「ニース協定」で各国が共通の国際分類を取り決め、日本は1990年に同協定に加盟し1992年4月から国際分類を採用しています。したがって、日本の商標分類も各国間で取り決められた国際分類に準じており、その分類は諸外国のものと概ね一致しています。
ただし、外国の分類と合致していない商品もあり、日本で通用したコードが外国では無効となる場合もあるので、外国でも商標を登録することを計画している企業・団体の担当者は各国間の特性を知っておくことが求められます。
日本と諸外国との商標の「類似群コード」はおおまかには一致しているものの、特に近年経済成長めざましく商標出願の件数が飛躍的に伸びている中国への商標出願に関しては「類人群コード」が大幅に異なっているので、十分な注意が必要です。日本と中国との「類人群コード」の最大の相違点はコードの桁数です。日本や大半の諸外国が数字とアルファベットを組合せた5桁であるのに対し、中国のコードは数字のみの6桁となっています。
先述した「パン=30A01」においては、中国の「類似群コード」は「300093」となっており、ナンバーが全く異なり、これは他のコードに関しても同じです。また、中国は商標の分類に関しても日本とはかなり異なる規則で振り分けられており、出願したい商品が見当たらないということもよくあります。
あまりにも急激に経済発展が進んだ中国では、もともと工業所有権特に商標の権利化という分野に対してその認識が遅れていたこともあり、急いで法体系を制定したという事情がこのような事態を生んだといわれています。このため、中国での商標出願においては十分な注意が必要です。