餃子の王将と大阪王将の類似商標「のれん問題」
全国にチェーン店を持つ「餃子の王将」は、京都発祥の飲食店として多くの人から人気を得ています。実は餃子の王将とは別に、餃子の王将・王将フードサービス創業者の親類が独立して始めた、「大阪王将」というお店があります。この両者は過去に師弟関係にありましたが、後者が独立をしてからは企業同士の立場となりました。そのため"王将"が店舗名に使われていることから、商標権の問題へと発展しました。
平成19年「餃子の王将」と「大阪王将(イートアンド)」の双方は、「王将」の類似商標問題について、それぞれが特許庁に審判を申し立てましたが、どちらも審決の結果を不服として提訴しています。
商標権争いに発展した理由「のれん問題」
そもそも、なぜ以前は師弟関係にあった両者が、商標権を巡る争いまで発展したのかには理由があります。京都を中心に全国展開を果たした元祖餃子の王将に対して、大阪王将もまたチェーン展開を大々的に進めたことで顧客の取り合いになりました。そして大阪王将が京都にまで進展を始めたことで、さらに関係は悪化したと考えられます。
これは後にメディアで「のれん問題」として取り上げられましたが、「餃子の王将」のようにブランド力を持つようになったことで、商標問題に発展することは多々あります。日本国内では伝統や技術を継承する師弟といった仕組みがあることで、このような知的財産権のトラブルが多い傾向にあります。
今回「王将」の商標事件では、お互いに利が無いことから和解という結論に落ち着きましたが、どちらかが敗訴することで市場の均衡に大きな影響を与えることも考えられました。最悪の場合は、裁判で敗訴した企業が倒産まで追い込まれることもあります。
商標登録で明確な権利を示す解決方法
のれん分けなどで曖昧な関係のまま発展をすることは、後々多額の賠償金請求や販売差し止めで損失を被る事にもなりかねません。ここで重要となるのは、お互いに知的財産の所有権について話し合いをした上で、法的な権利を示すことです。
具体的には商標登録またはその譲渡によって、知的財産権の行使可能な範囲を明確にて不要な争いを避けます。
"師範"が商標権を所有している場合、"弟子"はライセンス契約で費用を支払うことになりますが、これは「広告費」と捉えるべきでしょう。商標登録で権利を明確にすることで、両者が協力し利益の拡大を目指すことにも繋がります。