地域の名産品「きびだんご」の商標と類似について
「きびだんご」といえば岡山の名物ですが、北海道にも「きびだんご」があります。これは「北海道名物 きびだんご」と呼ばれているもので、観光地やスーパーで売られています。北海道ではよく知られた商品ですが、この地方以外では目にすることはありません。
「きびだんご」に馴染みがない人が、この北海道の「きびだんご」を食べたとき、北海道名物とは気付かないことがあるようです。「北海道名物 きびだんご」は商標登録されていますので、店頭において堂々と売られているのですが、「きびだんご」の本場である岡山からは販売や製造について注意を受けたことはないようです。
同一の商品名で特徴や製造方法が異なる場合
北海道の「きびだんご」は平べったくて板状の黒っぽいだんごです。そしてオブラートで包まれ、紙で個別に包んでいることを特徴としています。これに対して岡山の「きびだんご」は昔話に出てくるような丸い形をしているもので白いものやきび色のものがあり、くし刺しにして桟で分けては箱詰めにしています。
岡山の「きびだんご」は、お土産品として岡山県を中心に販売されているものです。両者は同じ「きびだんご」でも相違点を多くもつものとなっています。原料についてはもち米、上白糖、水飴としていることから、北海道の「きびだんご」と原料はほとんど同じです。ただし、北海道の「きびだんご」では、生あんとでんぷんを加えていることを特徴としていますので、色や食感が少し違うようです。
両者の間で商標権の侵害や対立問題はないのか
「北海道名物 きびだんご」は商標だけでなく、製法特許をもっていることを特徴としています。そのこともあって互いの商品に対して、販売差し止めや賠償請求することはないようです。これらの外観がまったく異なることや「きびだんご」が岡山銘菓、北海道名物と「きびだんご」全般について独占したものでないこと、普通名詞化していることが関係しているようです。
両者が観念、呼称においても似ているものですが、外観はまったく異なるものであることから、商品として類似しているようには見えないのです。そこで、北海道の「きびだんご」は岡山の「きびだんご」に類似していないということがいえそうです。対立するようなことや商標として侵害し合うことがなく、不正競争防止法として対立するもないことがわかるのです。