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「ゆうメール事件」と企業間の商標権争い

この事件は、ダイレクトサービスの企画や発送代行を行う株式会社札幌メールサービスが、日本郵便(郵政事業会社)に対して訴訟を起こした「ゆうメール事件」として知られているものです。日本郵便が使うゆうメールの標章について、商標権を侵害しているとして原告はその使用の差し止めを要求していました。具体的には「ゆうメール」、「配達地域指定ゆうメール」の2つの役務の標章についての使用差し止めを求めた訴訟ですが、この事件には3つ争点がありました。

 

日本郵便が使うことによって商標権を侵害していないかどうかということと、商標出願時の原告において不正がなかったかどうかということ、そして商標権による権利乱用にあたるのではないかという点が上げられていました。

日本郵便の「ゆうメール」が商標侵害とされた理由

日本郵便の「ゆうメール」は旧冊子小包のことで新会社に移行によって使うようになった名称です。この日本郵便のサービスは書籍やカタログなどを運賃割引で送ることができる郵便サービスとして現在では広く認知されています。全国的に知名度があり利用者も多いサービスとして知られています。

 

この事件では日本郵便の「ゆうメール」と札幌メールサービスの「ゆうメール」の商標の役務が同じであると見なされたことや、当時の郵政公社が「ゆうパック」を周知されていたとしても「ゆうメール」の標章の使用を知らせていたとはいえないという点が指摘されました。日本郵便に対して「ゆうメール」の使用の差し止めを命じたものとなり、これにより2012年に日本郵便が商標権を侵害しているとして原告の株式会社札幌メールサービスが日本郵便に勝訴することになりました。

知的財産裁判所による和解

日本郵便は「ゆうメール」の使用について差し止めされたことにより、この判決について控訴していますが知的財産裁判所において株式会社札幌メールサービスとの和解を成立したそうです。

 

なお日本郵便の「ゆうメール」は現在でも使い続けられていることが認められていますので、この和解の内容は「ゆうメール」の使用を許可するものであったと考えられています。そこで株式会社札幌メールサービスが東京地裁に差し止めを求めた訴訟は、和解によって商標の使用を認めた例として取り上げられるようになっているのです。

 

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