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名産物の商標登録と「水まんじゅう事件」

「水まんじゅう」事件は、商標に関する有名な事件の一つです。水まんじゅうは岐阜県大垣市の名物ですが、ある会社が「水まんじゅう」の商標登録出願を行なったことによって問題となった事件です。「水まんじゅう」は、大垣の名物品として多くの店で売られている商品ですが、この商品の出所が明確でないことから一般名称として扱われてきました。通常このような一般名称である商品については商標登録することはまずありません。それが特定の者に独占されることは好ましくないとされているからです。

地域名産物の商標登録による製造販売者への懸念

地域名産物の商標登録による製造販売者への懸念 「水まんじゅう」が商標登録出願されたことは「水まんじゅう」を製造販売する者にとって、非常に衝撃を与えるものとなったのですが、同様の商品については、実は大垣以外の地域では「葛饅頭」という名称が通常使用されていたことから、「水まんじゅう」は一般名称でないとして商標登録されてしまう可能性が十分にありました。そのことから「水まんじゅう」の商標を特定の者に登録されてしまい独占されることにより、観光名物が自由に販売することができなくなるという危機感を感じていたのです。

 

このように「水まんじゅう」が登録されてしまうと、地域の名物商品として販売している多くの和菓子店では、製造や販売を今までどおりに行うことができなくなってしまいます。そこで、この事件では大垣市内の業者などが商標出願に対して異議を申し立てるために、水まんじゅうの発祥の地であるという証明書を集めたそうです。

観光名物の商標登録に関する問題

この出願については異議申し立てが認められ、取り下げたものとすることができましたが、このような事件は観光名物を対象とした商品の商標登録において問題を起こすもので、どこで起きてもおかしくない性質をもっています。このような事件が再発しないように全国の観光地などでは、観光名物が商標登録されてしまわないように、あらかじめ商標登録を行う必要があるでしょう。

 

もし商標登録された場合でも、これが間違って登録されたという場合には、一般的な名称に対して商標権の効力が及ぶことはありません(商標法第26条の第1項第2項)。 しかし、そうでないときは、商標の使用について警告を受けたり、使用中止や賠償請求が行われるということも考えられます。この場合は、「水まんじゅう」事件のときのように登録について異議申し立てを行なったり、無効審判を行うことが必要となってしまうのです。

 

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