東京オリンピック関連商標による問題
日本では2020年に東京オリンピックの開催が決まったことで、全国的にムードが高まりつつあります。現在、開催地の東京ではオリンピックに向けて準備が進められています。また、各地ではオリンピックを盛り上げるために、お祝いを示す言葉をお店の看板やメニューに取り入れる動きもあります。
日本オリンピック委員会による使用の制限
日本オリンピック委員会(JOC)は、公式スポンサー以外の企業や商店でオリンピックを想起させる言葉を禁止するなどの制限をかけました。この制限ですが日本オリンピック委員会は、東京オリンピックを想起させるフレーズの使用を権利侵害にあたると主張しています。例えば以下の表現は「JOCがアウトとする使用例(いずれも公式スポンサー以外の商業利用の場合)」に記載されています。
- おめでとう東京
- やったぞ東京
- 招致成功おめでとう
- 日本選手、目指せ金メダル!
これらは商標登録がされている「オリンピック」を含まない言葉ですが、日本オリンピック委員会が権利侵害として訴えていることから問題が生じています。たとえ委員会側の方針が使用を認めないものであっても、商標法に基づく判断では「おめでとう東京」や「やったぞ東京」などは関連性に乏しく商標侵害には該当しません。
JOCの主張と商標法に基づく判断
上記で挙げたキーワードを商標登録した事実はないので、法律に則り考えた場合に使用を制限されることはありえません。さらに日本オリンピック委員会が定めた規約で自由を制限したことにより、盛り上がりを見せたオリンピックムードに悪影響を与える形となってしまいました。
そもそも日本オリンピック委員会がこのような制限を設けるのには、公式スポンサー以外の企業から便乗商売をさせない狙いがあるように思います。商標権を主張するあたりは商業的な思考があるのだと読み取れるでしょう。また、実際にはありもしない商標権を掲げて、他者の商業を排除しようとしている点には注意する必要があります。この件に限らず、知的財産が関わる商業の分野では頻繁に商標に関する問題が起きています。
対象とするキーワードが商標侵害に値するのか調べるには、特許庁のデータベースから検索することが可能です。但し商標の知識を有さない人は、商標の区分や指定商品・役務を見分けることが困難のため、商標を扱う特許事務所で調査を依頼しましょう。