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「浜名湖うなぎ」も商標登録―地域名産品のブランド化戦略

商標登録された地域名産ブランドの「浜名湖うなぎ」

地元の名産ブランドを世界に発信

日本各地の名産品を現地のみが所有できるブランドとして独占し、地域社会の活性化につなげると共に、それらのブランドが真に地元の知的財産であることを、日本のみならず全世界に向けて発信しようという動きが広まってきています。

 

背景には、都市部に集中しがちな流行を反省し、日本の各地にある名産品や特産物の良さを見直そうという動きが高まっていることが挙げられるでしょう。テレビのグルメ番組や旅番組などでそれらがたびたび紹介され高視聴率を獲得し続けていることも影響大といえるでしょう。また、「ふるさと納税」などの行政側の斬新な試みが成功したことも大きな後押しとなっているようです。

 

もともと、単に地域名と普通名詞のみを組み合わせただけのものは、出願しても登録商標として認められることはありませんでした。地域社会の共有財産ともいえる呼称を一個人や企業・団体に独占させることは、「公共性を犯すべからず」という商標法の概念に抵触するというのがその理由でした。

 

しかしながら、公民共に地域社会全体の共有財産として商標法の理念に叶っており、そうすることで地域社会のブランド力を全国に知らしめることとなり、ひいては地域の発展と活性化の実現に寄与するはず、という機運が1990年代後半くらいから次第に高まりました。

「地域団体商標制度」の特徴

そして、2006年4月から「地域団体商標制度」がスタートしたというわけです。

 

ただし、出願人となれるのは「商工会・商工会議所・特定非営利活動法人・農業共同組合・事業協同組合」などの公共団体・非営利組織に限定されています。また地域団体商標に関しては、地域名と普通名詞を組み合わせた文字に限られ、記号や図形・イラストなどは認められていません。

 

「地域団体商標制度」が制定後はさまざまな地域ブランドが出願され登録商標となり話題を呼びましたが、2018年1月には静岡県の「浜名湖うなぎ」の商標登録の査定が決定し全国的なニュースとなりました。

 

「浜名湖うなぎ」の商標出願人は浜名市と湖西市との養鰻業者で組織されている「浜名湖養魚漁業協同組合」で、出願はなんと約11年前の2006年12月にさかのぼります。

 

さほど出願数が多いわけではない「地域団体商標制度」の審査が、これほど長引いたことについて、さまざまな憶測が囁かれました。査定に年数を要した原因は「地域団体商標制度」の制度的特性にあるとみてよいでしょう。

「浜名湖うなぎ」のブランド価値

いかに地域ブランドの保護という大義名分があるとはいえ、地域名とブランド名が組み合わせであれば何でも商標登録できるわけではありません。地元で一定以上の知名度があり、地域を代表するブランドとして評価に値するものであるかどうかが大きな査定ポイントとなります。

 

ところが一方で「すでに普通名詞化したものは対象外」ともされており「伊勢エビ」や「薩摩イモ」などがこれに該当します。つまり、ある地域ブランドが「地域団体商標」となり得るためには、地域での知名度が要求されるものの、あまりに全国的に有名になり過ぎたものも対象外になる、というわけです。

 

「浜名湖うなぎ」の場合は、後者ではなく前者つまりこれが今後「地域団体商標」として保護されるべき地域ブランドであるかどうかについて、慎重に審査が続けられていたとみてよいでしょう。確かに「浜名湖うなぎ」の歴史は古いのですが、これが地元でどれほど知名度があり、実際に地元で受け入れられている地域ブランドか否か、その実体調査にも時間を要したものと推察されます。

 

時間はかかったものの、晴れて「浜名湖うなぎ」の商標登録が実現したことで、観光面にも大きなプラスに作用することでしょう。地元では「浜名湖うなぎ」のブランド化によって、一気に地域を活性化させようと官民挙げての大きな盛り上がりが期待されています。

 

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