商標法と歴史的人物の商標登録可否について
多くの商品やサービスには名前がついています。商品の名前は商品の品質を保証する販売者を識別する意味があり、消費者が安心できるために必要な役割を持っています。
その名前には、個性的な名前などがつけられることが多くあり、その中には人名が商標として登録されていることもあります。また人名については、有名人や文化人などの名前もよく見られます。名前については普通名詞ではない限り、商標として申請することは可能です。
人名の商標登録において商標法が認める条件
しかし、人名を登録する場合は、商標法が認める一定の条件を満たしていなければなりません。他人の名前を登録する場合では、人格権を守ることが前提となっているために、人名においては本人の承諾を得ていなければならないとしています。そのような要件を満たしているのであるなら商標として登録することが可能となります。
また人名の登録においては、今はもう生きていない有名人などの名前についても登録することができることから、商標登録では有名な歴史上の人物も多く登録されているとしています。登録されている例として「武田信玄」、「織田信長」、「豊臣秀吉」などがみられ、これらが商品やサービスに用いられる名前として識別力をもつことで効力を得ることができるものです。
これらの人物は現在生きている人ではありませんが、このような著名な歴史上の人物を商標登録することにおいて、だれでも登録できるという状況では関係者が迷惑してしまうことになります。また歴史上の人物の名は、その発祥地の商品や観光地のお土産などに利用されていることが多くあります。そこで特定の人物に名前を独占されてしまうことは、関係者の営業にかかわる問題となってしまうのです。さらに子孫にとっては気持ちのよいものではないとされています。
商標登録できる歴史上の登場人物とは
特許庁は、商標法第4条第1項第7号の公序良俗に反する商標は登録できないという規定から、登録できる歴史上の人物について判断していますので、商標の登録においては、これらを必要な条件としていることがわかります。
具体的には登録しようとする歴史上の人物について、よく知られていることや有名であることを条件としています。さらに地域住民が認識していることや歴史的人物名の利用状況と指定商品、指定役務との関係、その目的や理由などを明らかにすることを求めているのです。