ファミリーマートのシンボルカラーが色彩商標に登録
「コンビニ」といえばかつては大手から中堅、ローカルまで日本全国にいくつものチェーン店が乱立し、熾烈なシャア獲得競争を繰り広げていました。
しかしながら、最近は大手と中堅チェーンとの吸収・合併が進み、2018年の段階で日本全国のコンビニ店舗は「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の大手3チェーンに集約されてきています。
さて、このようのうな状況下で「ファミリーマート」が2018年9月28日に「色彩のみからなる商標」を商標登録したというニュースが報じられました。今回は、この話題を追ってみましょう。
イメージカラーで競争する大手3社
コンビニ業界の大手3社とも店舗の独自性をアピールして一般客を取り込む戦略を立ています。特に若い世代に訴求するには、商品の品ぞろえや各種サービスの利便性は言うにおよばず、いかに店舗のイメージをよくして集客に結びつけるかにかかっています。ここで重要になるのが「コープレート・カラー」と呼ばれる店舗のイメージカラーです。
たとえば、セブンイレブンは「赤・緑・オレンジ」で、ローソンは「青」となっていることは周知のとおりです。そして、ファミリーマートが同社店舗のコーポレートカラーとして使用していた「青・緑・白」の組み合わせを、このたび「色彩のみからなる商標」として出願し、これが認められ商標登録された、というのが一連の経緯です。
大手3社の中では業界3位の座に甘んじていたファミリーマートは、同業の「サンクス」や「サークルK」などを吸収統合するという店舗拡大路線を展開しており、これらの店舗が順次「ファミリーマート」に衣替えすることで、近い内に業界首位のセブンイレブンに迫る店舗数を確保するといわれています。
小売業としては初の「色彩商標」
トップの座を走り抜群の知名度を誇るセブンイレブンの牙城に肉薄するには、ファミリーマート側としては、店舗のイメージ戦略は何よりも重要と位置付けているようです。そのために、同社のイメージカラーがセブンイレブンと色違いの3色組み合わせであることから、すでに一般に知られているセブンイレブンに対抗するには、同社の「青・緑・白」を何としても一般消費者に浸透させ、店舗のイメージアップを図る必要があったというわけです。
ファミリーマートは「♪あなたとコンビニ、ファミリーマート」という短いCMソングを2017年9月に「音商標」として登録しており、2年続きの新規商標登録となっています。「音」「色彩」のどちらもコンビニ業界としては日本初の商標登録という点が、同社の商標にかける意気込みを感じさせます。
なお、同社の「色彩商標」の登録に関しては、コンビニ業界のみならず、小売業としても日本初といわれています。ちなみに、今回の色彩商標の商品(役務)区分と指定は以下の4分類となっています。
- 第35類 小売又は卸売業務において行われる顧客に対する便益の提供 他
- 第36類 ガス料金、電気料金等の徴収の代行 他
- 第39類 宅配便の媒介又は取次ぎ 他
- 第43類 飲食物の提供
今後予想されるイメージカラーの出願
文字や図形と同様に、「色彩」もまた商標査定を受けるには、消費者に対する「識別性」が重要視されます。すなわち今回の登録により、ファミリーマートが掲げる3色の組み合わせは「消費者がひと目見ただけで同社の店舗と明確に識別できる」と特許庁が認めたことに他なりません。
ファミリーマートは1992年からこのカラーを使用し続けており、今後の店舗拡大路線の戦略上、同社のイメージカラーを明確に権利・独占化することが事業発展に不可欠と判断したものと推察されます。これを契機に、今後は多くのサービス業が自社のイメージカラーを「色彩のみからなる商標」として出願する流れとなるかもしれません。