慣習商標は指定商品や指定役務に商標登録出来ない理由
商標法第3条第1項第2号により、慣習商標は指定役務、指定商品に登録できないとしています。この慣習商標とはどのような商標のこというのでしょう。
商標として認められる例は、他の商品との識別ができることが上げられていますが、中には時間の経過したことで普通名詞化したものや業者の間で普通に使用されてきたことから、識別ができなくなったものがあります。このような商品や役務は、他との識別ができなくなった商標として扱わることになるのです。そこで、これらの性質をもつ商品や役務の商標として登録を行なう場合、拒絶される可能性が高くなります。
拒絶通知書が届いた場合の対抗手段
たとえば食品では、清酒の「正宗」、あられの「かきやま」などを上げることができます。これらの名称を申請すると「拒絶通知書」が届くようになるのですが、慣習商標として立証することができる場合がります。
その条件として、申請する名称が一般的に慣習化しているとはいえないのであるなら、商標として登録することができるとしているのです。また、その商標が自分のものとして普及していることが証明できるような場合では、商標登録を可能なものとしてくれるようになるのです。
商標の登録申請において拒絶された場合、ほかにも対抗する方法があります。それは指定商品、指定役務について慣習名称を削除することで登録できるようになるもので、削除した後の残りのものについて慣習商標ではないということで対抗することができるのです。
慣習商標が商標登録の審査で拒絶された代表例
指定商品の第30類「菓子、パン」として申請された「ちんすこう」は、慣習商標が拒絶された例として上げられるものです。はじめは「菓子、パン」として指定商品が申請され、後から「砂糖、豚油、小麦粉をこね合せて木型で抜きとり、焼き上げた菓子」として補正されました。しかし、この例では、「ちんすこう」が、沖縄で商品の表示として普通に使われているということを理由に拒絶されたのです。
そして、拒絶審判において指定商品を補正したとしても「ちんすこう」が、沖縄の名産であることに変わりないとして慣習化している例が上げられ、請求人が商品について表示することにおいて、他の商品と識別できないとして拒絶した例となったのです。