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増加する中国広東省の商標出願件数が意味するもの

社会主義国による市場経済の導入

1990年代以降、急速に成長し続ける中国経済が世界を席巻し続けています。GDP(国内総生産)は日本を抜き去り米国に次ぐ世界第二位となり、世界経済に及ぼす影響度も年ごとに高まってきました。14億人に迫るともいわれる圧倒的な人口を生かした労働力によって「世界の生産工場」となった中国の経済発展のスピードは近来まれにみる速さであっただけに、「中国経済を無視して世界経済は語れない」といわれるほどにもなりました。

 

中国の経済発展が画期的であったのは、この国が一党独裁体制による社会主義国家であったという点に尽きます。社会主義とは資本主義に相反する国家体制であり、資本主義が市場経済を前提としているのに対し、社会主義は国家主導の計画経済体制を国是とします。しかし、競争原理が働かない計画経済では目覚ましい経済発展は望めないという現実が1970年代にはほぼ常識化していました。


ところが、中国は共産党の一党独裁という政治体制はそのままに、計画経済を導入するという大胆な方法を採用し、少なくとも経済発展という目標に関してはこれを成功させ、世界を驚嘆させるに至ったのです。

中国をめぐるさまざまな政治・経済上の問題

政治は社会主義、経済は自由主義という中国による世界初の壮大な実験は、さまざまな環境の変化を国家にもたらせました。国内では経済格差拡大と民族問題、そして深刻さを増す環境破壊問題などが顕在化してきています。そして国外では、圧倒的な経済力による東南アジア・アフリカ・中南米への経済進出と東シナ海への海域覇権拡大が軍事的脅威として周辺国や米国の反感を招き、一時緊迫した状況となったのは記憶に新しいところです。

 

さらに、中国をめぐる世界経済への影響として、知的財産権に関する問題も見逃せません。そもそも、無形財産としての特許や商標などの知的財産権は、高度に発展した西側先進国において、その価値観が共有されつつある分野でした。ところが、中国の経済発展のスピードがあまりにも速すぎたことと、一党独裁という政治体制も関係して、知的財産権に関する常識とコンセンサスが一般国民に浸透する時間が足りずに、知的財産権をめぐるさまざまな問題が世界的なトピックとなってきているのです。

中国最大の知的財産「圏」たる広東省

中国国内の各省別での特許や商標の出願件数のデータをみてみると、東シナ海に面した南部の広東省が圧倒的にその数が多いことに気付きます。広東省は2016年現在6年連続で出願件数トップの座を維持し続けており、PCT(特許協力条約)における国際特許出願数は14年連続で全国一で約1万5千件以上にのぼり、全体の半数以上を占めるという実績を有しています。

 

政府直轄市である首都の北京や中国最大都市の上海でなく広東省が中国最大の知的財産「圏」なのは、その地理的条件が大きな要因となっています。広東省はかつて植民地だった香港やマカオと隣接していることから、1979年の改革開放政策により経済特区第一号となりました。積極的に外資を導入し、中国政府が威信を賭けて実行した市場経済のモデル地域となったわけです。

 

経済の発展には、事業を興し業績を延ばすために強力なマンパワーが必要であり、中国の歴史上初となる企業間の自由競争がスタートした場所が広東省だったのです。圧倒的な労働人口によってGDP世界第二位となった中国において、これからの課題はマンパワーからソフト・パワーへの変化といわれています。

 

そしてPCTの国際特許出願件数の世界トップ50社の中で広東省の企業が5社もランクされていることからみても、中国経済における広東省の存在価値が今後もさらに高まってくることは確実でしょう。知的財産権を無視した商品が世界中に流通することは、中国の国際的信用度を低下させることでもあり、近年特許や商標の出願件数が急激に増加している現状もあり、中国の当局もその対応策に追われているようです。

 

広東省に代表される中国の特許・商標権出願件数の伸びをみるに、矛盾点を抱えながらも中国経済が新たな方向性を見出しつつあるといえるのかもしれません。

 

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