中国の商標法改正(第3回改正)の概要
近年では中国での商標登録について世界中の企業が問題視しています。中国における商標問題は、中国国内の知的所有権に関する考え方や、根幹である商標制度が原因であると考えられます。国際基準と比較して特許庁の商標出願審査の甘さや、審査通過の基準に一貫性が無いことを指摘されています。これを受けて中国政府は、2013年8月に開いた第12期全国人民代表大会常務委員会第4回会議において「中国商標法の第三回改正」を決議、翌2014年5月1日より施行することを決定しました。
新中国商標法の要点
中国商標法改正で要点とされたのは「国際標準化」「罰則と保護の強化」「手続き迅速化」の3点です。
まずは国際標準化についてですが、中国での商標登録で最も深刻な問題とされている第3者の商標登録を禁止しています。既に中国で使用されている、もしくは影響力が高い未登録商標の冒認出願、第3者(代理人)による抜け駆け出願に対して、罰金を科すことを定めました。また、代理人は依頼を受けた出願に拒絶理由が出された場合には、その旨を依頼者に告知する義務が課せられます。
罰則に関しても、模倣品(コピー商品)などの侵害を損害賠償の対象とするほか、登録商標を企業名に使用するなどの悪用に不正競争防止法の適用などが追加されています。これにより、多くの不正な商標登録は排除されることになるでしょう。
今回の商標法改正では手続きの迅速化も注目するポイントです。以前、中国での商標審査は期間が不明確で商標権獲得までにかなりの日数を要しました。審査期間を出願書類受領から最大9カ月に決めたことで、商標登録の利便性が向上しました。これによって海外企業はより中国での商標登録がし易くなりました。
中国商標法改正による変化
中国商標法の第3回改正では、外国の意見や国際標準の考えを取り入れて、過去の商標登録制度から大きく変化しました。商標権の不正使用という面においては、新たな罰則や禁止事項の追加により商標が本来の機能をある程度取り戻したと言えるでしょう。
しかし、商標法が改正されたからと言って、中国での商標問題がなくなるわけではありません。おそらく今後も日本国内では想定されないようなケースが起きる事でしょう。それに備えるためにも、早期の商標登録で対策を行いましょう。