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オタク婚活事件から学ぶ自他商品・役務の識別力

商標登録は自社ブランドを保護するために有効な手段ですが、どのような商標でもすべからく登録できるというものではありません。商標は、自社商品と、他社商品を区別するためにあるものですから、他社商品との区別が難しい一般的な称呼では登録が難しいところです。

商標の登録要件

そもそも商標とは、自社の商品と他社商品を区別するものであり、商標権はこの機能を保護するものです。

商標法第3条では、商標の登録要件を定めていますが、ここでも、消費者がその商標を見て、それが誰の商品や役務であるかを認識できるか否かがポイントとなっています。これは自他商品識別力、自他役務識別力と呼ばれており、商標登録要件の根幹とされています。

 

つまるところ、きわめて簡単な図表や商品の用途だけを組みあせたような一般的な名称は、自他商品・役務の識別力がないとして、商標登録されることはないのです。特に、商品の産地や品質、用途等を組み合わせただけの商標は記述的商標とも呼ばれています。

 

例えば、スポーツという用途のもとに開発されたシューズに対して「スポーツシューズ」という商標を出願したとしても、これは記述的商標、つまり他商品との区別が難しいとして登録されることはないでしょう。また、産地や用途といったキーワードは、商品や役務を流通させていく上で必要不可欠な表示項目であり、これを商標として一私人・企業に権利を独占させるのは望ましくないといった考えもあるところです。

 

オタク婚活事件とは

記述的商標、自他商品・役務識別力の有無は事前判断が難しいのですが、「オタク婚活」に関する訴訟事例は一種の参考材料になるでしょう。いわゆるオタクと呼ばれる方々向けの婚活パーティを開催しているナゲット株式会社が平成24年に「オタク婚活」という商標を出願して登録されましたが、平成25年に登録異議の申立てを受けて特許庁は商標登録取消の審決を下しました。

 

この事件は審決後に知的財産高等裁判所にまで持ち込まれましたが、判断は覆ることなく、審決内容のまま商標登録取消という結果で終わりました。この事件で争点になったのが、「オタク婚活」という商標に自他役務の識別力があるか否かという点でした。

 

まず、異議申立てを行った側の主張ですが、「オタク婚活」は、アニメ・マンガ等の愛好家を指す「オタク」という単語と結婚相手を探す活動を指す「婚活」を組み合わせたものであり、「オタク向けの結婚活動」の意味合いを持って認識されることから、いわゆる記述的商標に当たるというものでした。

 

ナゲット株式会社側では、「オタク婚活」という単語は広辞苑や大辞林等にも掲載されていない、消費者側も「オタク婚活」が「オタク向けの結婚活動」を示す単語と認識していないと反論しましたが、結果として特許庁・知的財産高等裁判所は異議申立て人側の主張に軍配を上げました。

 

特許庁の審決を指示した知的財産高等裁判所は、アラサー向けの結婚活動・シニア向けの結婚活動を指すものとしてアラサー婚活・シニア婚活という単語が広く使われている中では、「オタク婚活」も同様の認識を受けるはずという解釈を示しました。「オタク婚活」という商標は、異議申立て人が主張するように記述的商標に当たり、自他役務識別力がないという判断です。

 

オタク婚活事件から学ぶ

オタク婚活事件の判決からは、言葉として新規性があるというだけでは、自他商品・役務識別力までは認められないということが分かります。類似する言葉の用例、受け手側の認識まで考慮しないといけないということです。

 

なお、この事件時の「オタク婚活」という商標は標準文字だけで構成されていました。ナゲット株式会社は、判決後にオタク婚活という文字にロゴマークを付した形で再度商標出願し、登録されています。ロゴマークを付けることによって、自社が提供するサービスの商標であることを明確にし、自他商品・役務識別力を高めたということでしょう。


 

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