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画面デザイン保護と意匠権

スマートフォンの普及に伴い、消費者向けのコンテンツビジネスも活発になっています。特にアプリ関係では、他社サービスとの差別化のために画面デザインも工夫を凝らしたものになっています。このような中で画面デザインも意匠権で保護しようという動きが広まっています。

画面デザイン保護の歴史

我が国では明治22年に施行された意匠条例が施行されたことに伴い、意匠権の保護が始まり、いくどかの改正を経て現在の意匠法が成立されました。 意匠権とは、新規性と創作性がある物品の形状・模様・色彩のデザインの権利を保護するものであり、商標権と同様に他社の模倣を防ぐ効果があります。

一方で、アプリの操作画面といった画面デザインについては、商品・サービスとしての歴史が新しいこともあり、なかなか意匠権としての保護が進んできませんでした。

 

意匠法で画面デザインの概念が始めて導入されたのは昭和61年策定の「物品の表示部に表示される図形等に関する意匠の審査基準」で、家電製品や情報機器の液晶表示画面を意匠権の対象としたことが始まりです。

一方で、この審査基準ではデジタル時計の時刻表示といった単純な画面表示しか対象にならず、操作画面のような表示が変化していくものの対応ができませんでした。

 

スマートフォンのアプリ画面も意匠権の対象に

このような課題に対応していくため、平成18年に意匠法の一部改正が行われ、初期画面以外の画面デザインについても意匠権の対象となりました。

 

その後も画面デザインの保護、意匠権審査の明確化に向けた検討が行われ、昨年12月に開催された産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会では、スマートフォンなどに取り込むアプリの画面デザインも意匠権として登録できるように審査基準の改正が行っていく方針が決定されました。審議会の方針に基づいて本年3月に審査基準の改訂が行われ、4月1日から新基準での意匠登録出願が受け付けられています。

 

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模倣品対策が進むことを期待

これまではプログラマーやデザイナーが苦労して作った画面デザインであっても、それを他社に模倣されたときには著作権法や不正競争防止法の観点からの限定的な対応をとることしかできなかったところです。

今回の審査基準の改訂によって意匠権として権利が明確になるため、模倣品対策が進んでいくことが期待されます。

 

一方で、自社が作った画面デザインが他社の意匠権を侵害していないかとクリアランス調査も重要になります。

商標権、特許権などと同様に、偶然似たようなデザインになったとしても、相手方から意匠権侵害の訴訟を提起されるリスクがあるからです。

 

これからの画面デザイン開発では、美観・操作性だけではなく、法務面からのチェックも必須になっていくことでしょう。アプリ開発は、法務面の知識が乏しいベンチャー企業が手がけることも多いですので、弁理士などの外部専門家を上手に活用していくことが鍵となりそうです。

 

画面デザイン保護にはまだ課題も残る

今回の審査基準改訂によって意匠権による保護対象となる画面デザインの範囲は大きく広がりましたが、課題がすべて解決したわけではありません。確かに、スマートフォンにインストールされるアプリの画面デザインは意匠権の対象となりましたが、インターネットを介して利用するソフトウェアの画面デザインは今回も対象にならなかったのです。つまり、端末へのインストール作業を要しないWebアプリなどは対象とならない可能性が高いのです。

 

Webアプリはデザイン変更も頻繁に行われるため、意匠権として規定・保護するのは難しいかもしれませんが、今回の審査基準改訂に伴って新しく判明した実務的な懸念、訴訟事例も参考にしつつ、時代の流れに合わせた基準が作られていくことを期待します。

 

 

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