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実例から見る商標のライセンス契約(商標使用許諾契約)の注意点

商標権は財産の一種と扱われており、譲渡や売買も可能です。権利としては自社で持ちつつも、他社にも一定の条件で使用を許可するといったこともできます。これは世間一般でライセンス契約と言われているものであり、代理店ビジネス、フランチャイズビジネスなどで広く使われています。

 

ライセンス契約とは

ライセンス契約には、商標権を保有する企業(ライセンサー)にとっては早期に広い範囲でブランド展開ができるメリットがありますし、商標の使用権を得た企業(ライセンシー)にとっても商標が持つブランド力・信用力をもとにビジネス展開することができるのです。

 

飲食業界を例にすると分かりやすいと思いますが、おしゃれなことで知られているA社という喫茶店があるとします。A社は自社のブランドを広げるために店舗網の拡充を考えていますが、全て直営店舗とするのはリスクが高いところです。一方、B社では、新たに喫茶店を始めようと考えていますが、知名度ゼロの状態から顧客を開拓するのにハードルを感じているところです。

 

商標は、このような2社について、双方にメリットのある形で結ぶことができるのです。A社側で自社の店舗名(商標)について、B社に使用許可を出せば良いのです。こうすることによって、A社としてはリスクの低い形で自社のブランド名を冠する店舗を増やすことができますし、B社にとっても最初から消費者の認知度の高い状態で喫茶店を始めることができます。これがライセンス契約のメリットです。

 

ライセンス契約の留意点

ブランド展開、新規事業の開始にあたってメリットが大きいライセンス契約ですが、当然ながら欠点がひとつもないわけではありません。それは、ライセンス契約は、お互いの利害関係が一致することを条件がなければ成立し得ないという点です。先ほどの喫茶店の例ですが、お互いの営業エリアが被らないうちはwin-winの関係を維持できますが、例えば、A社の財務基盤が強化され、直営店舗路線に舵を切った場合、どのようなことが起きるでしょうか。どのように転んでも、B社にとっては良い結果にはならないのは明確です。

 

つまるところ、ライセンシーの立場は不動のものではないということなのです。このところ話題になっているヤマザキナビスコのリッツ、オレオの販売終了も元をたどれば、商標のライセンス契約に行き着きます。

 

リッツ、オレオはライセンス商品

今ではヤマザキナビスコの看板商品と認識されているリッツ、オレオですが、実はこれらはアメリカのナビスコ社が開発したものであり、日本のヤマザキナビスコはライセンス契約を締結して製造・販売していたのです。ヤマザキナビスコはライセンス契約に基づいて、リッツ、オレオを製造・販売してきましたが、このライセンス契約は2016年8月末で期限を迎え、更新せずに終了することになりました。ヤマザキナビスコはリッツ、オレオの販売を終了せざるを得なくなったのです。

 

なぜ、このような事態に陥ったかというと、ナビスコ社の親会社であるモンデリーズが日本法人を通じて直接販売するビジネスモデルに転換したのが大きいです。リッツ、オレオの商標権を保有しているのは、あくまでモンデリーズですから、ヤマザキナビスコはこの方針に従わざるを得ないのです。

 

事業継続のためにはオリジナルブランドの育成も

ライセンス契約は、ライセンサー、ライセンシーの双方にとってメリットのあるビジネスモデルですが、ライセンシー側においては、使用許諾を得た商標のブランド力に頼りきりになるのではなく、常にその先を考えておく必要があります。

 

ヤマザキナビスコはリッツ、オレオといった看板商品を失うという痛手にはあいましたが、自社開発したブランド商品も数多くあるため、会社の屋台骨が揺らぐという事態は避けられました。今後は、社名をヤマザキビスケットに変更して、海外事業にも取り組んでいくとのことです。企業としての持続、事業継続を図っていくためには、自社のオリジナルブランドの育成が不可欠ということでしょう。

 

 

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